〜それは仕方のない人間の性・番外編〜
冷え性(レッドさんとヒカリちゃん)
「ねえ知ってた。ヒカリちゃん」
「何ですか?」
「ゲームコーナーのお金って、誰のものになってると思う?」
「え?」
レッドさんが買い物をしたいと言うので、私はレッドさんにトバリシティを案内していたところだった。
通りの向こうにあるゲームコーナーを見ながら首を傾げる。
あそこのお金とは、ゲームコーナーで購入したときに払うコインのお金のことだろう。
ジュースを飲みながら考える――と、身近なひとの顔が浮かんだ。
まさかという気持ちでレッドさんの顔を見上げたけれど、レッドさんはわたしの考えていることは当たっているよと言わんばかりに笑った。
「……アカギさん?」
「ぴんぽん。大正解」
言われてみれば、確かにそんな気がしてきたけれど。
「そんなこと、考えてもみませんでした……どうしてわかるんですか?」
「あそこのスロットのリールにギンガ団のマークが付いてるんでしょ? だったら多分そうだと思うよ。全額ではないだろうけど、どこの地方も、大人のやることは変わらないね」
「でもでも。アカギさんはもう悪いひとじゃないんですよ」
わかってますよね? という気持ちで、つないでいたレッドさんの手をひいた。
レッドさんは、今度のことは予想できなかったみたいで、一瞬複雑そうな顔をしてみせた。
でもすぐにいつものレッドさんの顔に戻って、「わかってるよ」と言ってつないでいた手を優しく握り返してくれた。
END
2012/08/26
(寒いから、という理由で手をつなぐふたり)
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